名古屋文化論~不思議なナゴヤの魅力 > もさっ

名古屋ことば「もさっ」

ういろうを食べると、「いつもながら、もさっとした味だなあー」と思いますが、「もさっとした」というのは名古屋ことばの中でも、なかなか秀逸なものだと思います。

うすぼんやりとした輪郭のないなんだかわからない、というような意味で使われます。

食べ物だけでなく、人の性格を表す時にも使われます。

「あの人は、もさっとしとる」という場合には、

  • さえない
  • 存在感がない
  • ぼんやりしている

というネガティヴな意味合いです。

ネイティヴな(老人が使う)名古屋ことばですと、「もっさらこい」となり、さらにインパクトが増し、心にザクっと突き刺さる残酷な言葉になります。

ですが、「もさっ」も「もっさらこい」も言っている本人はどこかに親愛の情を込めているというのが事実です。

たとえば、ういろうにおいても、「もさっとしとるなあ」とは言われますが、心底「不味い」と思っている名古屋人はたぶんいません。

名古屋の人に「あんた、もっさらこいねえ」と言われても、それは本当は愛されている証拠です。

臆せず、右から左へ受け流していただければ、問題ないかと思います。
たぶん。